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Tax & Accounting Blog

第一線の貿易実務担当者が見る3つの長期的な貿易トレンド

Keith Haurie Blog, Global Trade, ONESOURCE February 21, 2018 (Originally published on December 1, 2017)

不確実性をうみ出す原因となっているテーマは、保護主義の長期的な影響、提案中または既存の自由貿易協定の行方、ならびに製造業における全般的な技術の発展です。

これらのテーマに加えて、規制の執行行動の強化、追加的なコンプライアンス要件、ならびに物品およびサービスのデジタル化の進展も、貿易業務部門やそれを支えるベンダーおよびコンサルタントにとって、複雑さを生み出す追加的なテーマとなっています。

当社の2017グローバル・トレード・サーベイでは、複合的多国籍企業の貿易コンプライアンス部門を指揮する人々に対する1対1の詳細なインタビューを中心とした定性的な評価を行いました。それらの議論における全般的なマインドに基づき、今後数年間の国際貿易の動向として、大まかに以下の3つが予測されます。

1:2020年までに、中国は、国際貿易政策の形成におけるより指導的かつ目に見える役割を獲得する。

中国は輸出主導型経済から消費主導型経済への移行を継続しており、したがって、貿易に対する中国のアプローチは関与の強化を支持する方向に展開しています。

自由貿易協定(FTA)は、企業における新たな工場の建設場所または事務所の設置場所に関する意思決定を実質的に主導するものではなく、むしろ多くの場合において、企業のサプライ・チェーンの意思決定者が関税の節税を最適化したり、顧客におけるFTA関連の機会を支援したりするための機会となっていることが、私たちの所見として示されています。これは私たちの見通しの重要な部分の1つです。

2:米国のみならず世界中で、国際貿易の縮小に従い、現地調達が増加しつつある。

現地調達の増加は、主として、国際サプライ・チェーンにおける重要な役割を担ういくつかの国の指導者が保護主義的な立場を取っていることの帰結です。加えて、現地調達の増加は競争力にも関係しています。すなわち、現地調達によって、一般に物流コストの引下げおよび商品の市場供給の迅速化が可能になります。

このことは自動車セクターでは以前から理解されており、自動車業界においてニアショアリング戦略が採用されているのはこのためです。ただし、自動車購入のファンダメンタルズは、電子商取引の隆盛にもかかわらず、何十年もの間大きく変化していません。自動車購入は消費者にとって依然として重大な意思決定であり、相当な下調べや検討を伴う傾向にありますす。

その他のセクターは、商品の市場供給の大幅な迅速化を迫られています。消費者は、最小限の介入で商品を自宅に届けてくれるような、オンデマンドの商取引と迅速かつ自動化された配送を、ますます好むようになっています。これらの期待の充足という「暗号文」はアマゾンやJet.com(現在はウォルマートが所有)等の小売業者によってすでに解読されており、現地調達は、各ブランドがこれまでになく迅速に一般消費者に商品を届けるために一役買っています。

3:各国政府は、ますます高度化するデータ管理・分析手法を用いて税務に取り組むようになる。

分散型台帳技術(すなわち、ブロックチェーン)は、私たちの社会にとって、過去1世紀の間における最も有望な技術的進歩の1つです。この技術は、透明性を高め、特定の種類の不正や不適切な管理を不可能にします。この技術によって、監査のスピードおよびコストを著しく改善することができます。将来の監査がほぼ全面的に自動化されたリアルタイムのプロセスになることは、想像に難くありません。

企業は、商品および内部プロセスに分散型台帳を組み込み始めています。各国政府も同じように、企業による直接税・間接税および貿易業務の報告方法に関する新たな基準や命令を通じてブロックチェーン技術を税制に組み込むことにより、すぐにこれに対処するでしょう。最終的には、ブロックチェーン技術によって、国境で行われる活動の必要性を軽減または排除することができます。

このことは、貿易実務担当者にとって2つの影響を及ぼすでしょう。一つには、規制当局向けのデータの収集および構造化が一層重視されること、そして二つ目には、貿易が行われるスピードを向上させられることです。

国際貿易は現在、世界のトップニュースで取り上げられる業界となっています。第一線の貿易実務担当者にとってこれは、この専門領域に対する注目の高まりを利用して自身の企業における影響力を強化することのできる、歓迎すべき機会であるといえます。