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Tax & Accounting Blog

グローバル輸出規制に対する高まる懸念 - 第1部

James Carneiro Blog, Global Trade, ONESOURCE Original: February 9, 2018 | Translated: March 22, 2018

今回の2部構成シリーズでは、 世界の輸出管理に関する問題や懸念を取り上げます

米国に拠点を置く多くのグローバル企業は、米国、そしておそらくはEUの輸出管理規則を十分に理解するために多くの資源を費やしてきたと思われますが、今や自社の製品やソフトウェア、技術の輸出国の輸出管理規則について、これまで以上に幅広く理解する必要性が増しています。すなわち、米国の輸出管理規則を理解していれば、米国以外の諸国から輸出・再輸出される製品の扱いについても、十分に理解できるはずだという考えは、もはや通用しないのです。

多国間輸出管理を実施する国の増加
最もよく知られている多国間での輸出管理体制の「ビッグフォー」と言えば、ワッセナー・アレンジメント、ミサイル技術管理レジーム、オーストラリア・グループ、及び 原子力供給国グループです。こうした体制の中核は、「デュアルユース」(すなわち民生・軍事両方の目的で使用される恐れがある)とみなされる、または明らかに軍用として設計された輸出品目(ソフトウエア及び技術を含む)に対する規制にあります。時間の経過とともに、より多くの諸国がこうした規制グループの1つ以上に加盟しており、強制力のある輸出管理を実施済みか、またはその過程にあるという状況です。

どの国がどの規制の枠組みに参加し、更にどの実施段階にあるのかについて常に最新の情報を得ることは容易ではありません。例えばマレーシアは、現時点ではどの体制にも属していないのですが、共通の多国間規制リストの分類 を利用して輸出管理政策を実施しています(2010年戦略貿易法を参照)[1] 。またインドには、「特殊化学品、微生物、物質、機器、技術リスト(SCOMET)」と称する独自の輸出規制リストがありますが、最近になってインドはワッセナー・アレンジメントに配慮してSCOMETを改定、ワッセナー・アレンジメント加盟国[2] として認められています。(インドのワッセナー・アレンジメントに基づく輸出管理:政府)[3]

統合リストvs. 個別リスト
どの国に関しても、効果的な輸出管理手順を実施するための鍵は、規制品目の指定方法にあります。米国は、二重用途品目のリスト(Commerce Control List)と軍需品のリスト( Munitions List)を別文書として作成しているのに対し、一部の国では同じ文書に複数のリストを掲載したり、全ての品目を1つのリストにまとめたりしています。例えば英国には複数のリストを含む単一の文書 (戦略的な軍用・デュアルユース用途品目の統合リスト)があり、日本の場合は二重用途品目と軍需品を1つのリストにまとめています。

リストの定期的更新
多国間または国別の検討事項に基づいて、輸出規制品リストは定期的に更新されています。例えばワッセナー・アレンジメントの場合、加盟国は輸出規制の変更について検討するための総会を行っており、2017年の会議結果を受けて議長国が発行した文書には、以下の変更に関する記載があります。

「軍用火薬や一定の電子部品など、多数の分野において新たに輸出規制を行う。

また既存の規制内容についても、宇宙船向けの地上局、潜水艦のディーゼルエンジン、侵入ソフトウェアに関する技術、ガスタービンエンジンの試験用ソフトウェア、アナログ・デジタルコンバーター、非揮発性メモリ、情報セキュリティなどに関して明確化を実施。

一方で、機械的高速カメラやデジタルコンピュータに関するものなど、一部の規制は緩和されました。」

こうした変更の最重要点はおそらく、複数の加盟国が自国の輸出規制リストや政策を同一のタイムテーブルで更新することはないゆえに、国ごとの動向を見守るしかないという点でしょう。

国別の変更例として、2010年以降、米国では輸出管理改革の取り組みがなされています。輸出業者は、米国の軍需品リスト(Munitions List)から商務省規制品目リスト(Commerce Control list)への品目の移行に関する変更、またその変更が自社の国内外での許可取得手順にどのような影響を及ぼすかについて、理解しておく必要があります。

まとめ
米国やEUなどの輸出管理プログラムの実施に対する世界各国の関心が高まるにつれて、多国間、国内で輸出規制が頻繁に変更され、国ごとに異なる規制が実施されています。そのためグローバル企業は、こうした輸出管理に関する自社の責任の全容を理解し、経時的な変更を見守る必要があります。

各社は自社製品に割り当てられた輸出規制分類番号を単一のデータベースで管理するのが理想です。そうすれば、国によって分類モデルが異なる場合にも、明確化を図ることができます。各国の分類の現状を把握することによって、輸出規制のレベルやどのような許可が必要かもわかります。世界中の輸出管理規則に従うことは、現在のグローバル化経済において自由に操業する力を維持するために不可欠です。悪評や罰金、輸出特権の喪失は、企業の世界規模での拡大計画に悪影響を及ぼしかねません。
(第2部に続く)

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